Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第58回−3

1878年10月3日 木曜日
アディと私はサットン家のテニスのパーティーに行く予定の筈が。
プレストン・クレッカーの誕生日だということなので、アディはプレストンを手伝ってお祝いをしてあげるために築地に行くことになり、私は連れて行かなければならなかった。
帰り道いろいろ用足しをした。
ド・ボワンヴィル夫人が夕食にみえて、そのあと母と一緒にYMCAのパーティーに行かれた。
でもその前にちょっとした音楽会を家でした。
夫人はとても良い声で、正確に歌われる。
私は母たちのお伴はせず、家にいて本を読んだりオルガンを弾いたりした。
「YMCAのパーティーに連れて行ってあげましょう」
ディクソン氏は以前からそう宣言したのだけれど、今日の午後になって悲しい顔をして現れた。
「パークス夫人について来て欲しいと頼まれてしまい、どうしても断り切れなかったので先般の約束は勘弁して頂けませんか?」
「…………」
それは侮辱と取るべきかどうか分からなかったけれど、私たちは憤慨した。
でも母は何事もなかったような顔をしていた。
しかし私たちの復讐は十分遂げられた。
というのは、ディクソン氏が公使館に行くとパークス夫人は行けなくなったという回答が。
しかも、代わりに実にいやな老嬢イザベラ・バードをお寄越しになったのだ。
イザベラ・バードは本を書くつもりで、誰にでもしつこくいろいろ聞き出そうとするので、誰もそばに行きたがらない人物なのだ。
先日まで東北地方と北海道を旅行しており、日本での旅行記を書くそうだ。
ディクソン氏は銀座まで歩かされ、帰り道もずっと歩かされた。
すっかり「騙された」彼は、その晩不景気な顔で一度も笑わず、可愛いジェニーやガシーにまで素っ気ない態度を取った。
音楽会でミス・ピットマンの歌を紹介する時に「ミス・ホイットニー」と云ってしまい、慌てて言い直して今度は「ミス・ホイットマン」と云って聴衆から大笑いされた。