1877-03-01から1ヶ月間の記事一覧
1877年3月30日 金曜日 今朝四時半頃、半鐘の音と人々の駆けてゆく音で目を覚ました。 起きてみるとうちから二街区も離れていないところで炎が立ち上っていた。 風がこちらの方向に向かって吹き、火の粉が飛んでくる。 我が家の危機に瀕し、とても怖か…
1877年3月29日 木曜日 今日お逸は夕食の手伝いをするため、授業後も残っていた。 ランキン氏と杉田氏の令息がアラスカ号で出発するので、おやおさんとおすみ、それに少年たちの授業はお休みとした。 二人の若い友達がこんなにすぐ行ってしまい、もう…
1877年3月28日 水曜日 今朝公使館に行ったら、ビンガム夫人はお嬢様が今度の汽船、東京号でお着きになるので、待ち兼ねていらっしゃった。 母は富田夫人と横浜へ行き、私たちの協会の会合日なので、私も出かけた。 今回の開催場所はユウメイの家で、…
【クララの明治日記 超訳版解説第28回】 「まったく! 貴女がたは本当に粗忽者ですわね」 「仕方がないじゃない、話のノリってものがあるでしょ? 青=お婆さんの色、いつも青い服=富田夫人、となれば三段論法的にも当然でしょ?」 「そんなもの、三段論…
1877年3月22日 木曜日 杉田武氏が今月アメリカに帰るランキン氏について行くことになったので、今日アメリカの作法と習慣を習いにおいでになった。 お逸は二時に帰り、私は母と人力車で出かけ、絵本などを売っている小さい店に立ち寄った。 「その本…
1877年3月21日 水曜日 お逸は朝からうちに来ていたのだけれど、天気が悪いので泊まっていった。 ひどい風と雨が南から吹き付けていた。台風かと思ったけれど、ただの彼岸嵐だった。 お逸は生姜入りケーキとパンを作った。 「うちの父様は、外国の食べ…
1877年3月16日 金曜日 今朝授業をしていると、あざらしの毛皮の帽子を被った風采のよい日本の紳士が入口の段を上がって来た。 長窓をあけて「なんの用ですか?」と尋ねたら「サイキョウ(西京)から来ました」と云われた。 私は西京の人は誰も知らな…
1877年3月14日 水曜日 案の定、父は昨日の食べ過ぎが原因で具合が悪く、ウィリイが代理で学校で教えなくてはならなかった。 「もし明日も欠席されるようでしたら、森島君に代理をして頂きますから」 講習所の理事である矢野二郎氏が来て、そんな侮辱…
1877年3月13日 火曜日 今晩は大久保氏と竹村氏が、箕作氏に会いにうちにおいでになる筈だった。 筈だったのに、定刻になっても箕作氏しか現れないのでがっかりした。 理由は分からないけれど、何かの手違いでなかったら怒りたい気がする。 だけど、理…
1877年3月7日 水曜日 首を長くして郵便を待っているのにまだ着かない。汽船が出て三十七日経つというのに。 しかし、今度着く予定のアラスカ号はいつもとても遅れるので、心配することはない。 インブリー夫人はこの汽船のことを「古ぼけた桶」と呼ぶ…
1877年3月3日 土曜日 今日は母とウィリイが横浜に行ったので、私はアディと出かけた。 最初に大鳥家にお嬢さん方を訪ねたのだけれど、二人ともお留守だった。 それから富田家に立ち寄って奥様を呼び、一緒に福沢家を訪問することにした。 その福沢家で…