1878-02-01から1ヶ月間の記事一覧
1878年2月25日 月曜日 一日中雨で、生徒たちが姿を見せるとは思わなかったのに、予期に反して全員出席だった。 私は気分が優れず、いらいらした。 ひどい頭痛がする。風邪で鼻はつまっているし、全く嫌な一日だった。 父も不機嫌だった。 ところがお…
1878年2月23日 土曜日 お客様は四時頃からぽつぽつみえた。 松平おやおさんとおすみが、まずいつものように時間通りにみえた。 支度が出来上がったところへ小鹿さんとお逸が一台の人力車に乗ってきた。 二人ともとても立派な服装で背が高く、咲き誇る…
1878年2月22日 金曜日 ミス・ワシントンのように、私のジョージ・ワシントン将軍のような有名な人を先祖に持つ幸運に恵まれていたら、恐らくしばしば祖先崇拝の罪を犯していたであろう。 実際は同国人という以外なんの繋がりもないのだけれど、私は彼…
1878年2月21日 木曜日 明日はワシントンの誕生日を祝うことにして、大久保氏、田安公、松平氏、勝氏の四人を招待した。 しかし授業もあるし、大久保氏が土曜日の方が好都合だと云われたので一日延期した。 今日はお菓子作りに忙しかった。 今朝台所へ…
1878年2月20日 水曜日 女生徒も規則正しく出席するようになったので、男三人女三人のクラスは上手くいっている。 みんな上達が早くて私たちは誇らしく思う。 けれど。 「本当にこの発音だけは日本人には難しいようね」 母は「l」と「r」の発音の区…
1878年2月19日 火曜日 福沢夫人、福沢氏の長女のおサンさん、杉田夫人の三人が二時の昼食にみえた。 お逸も残って通訳を手伝ってくれた。 杉田夫人が一番先にみえた。で、しばらくの間、とりとめのない話をした。 「永楽町で展覧会をやっているのです…
【クララの明治日記 超訳版解説第41回】 「先週の大鳥圭介夫人の葬儀に引き続き、今回はおやおさんの婚約者四十七日ですわね」 「法事の模様はこれこそ現代と殆ど代わりはないと思うから、今回はおやおさん特集と云うことで」 「おやおさんこと松平八百子…
1878年2月17日 日曜日 おやおさんの七十日の喪が明けたので、以前のように人力車で乗り付けてきた。 前にも増して美しく、控えめな身なりであった。 前に習ったことは少しも忘れていないばかりでなく、前よりも知識が増したようにさえ思われる。 美し…
1878年2月16日 土曜日 お菊ちゃんは昨日既にだいぶホームシックのようだったが、家には帰りたくないと云っていた。 お逸が上手に宥めてくれたのでもう大丈夫。 そう思っていたら、今朝またホームシックが始まってしまった。 それで結局おうちに帰した…
1878年2月15日 金曜日 私はお菊ちゃんにベッドを整えたり、そのほか私の朝の仕事を手伝って貰った。 その間、私の大きいスリッパを履いて、ぱたぱた歩き回りながらあどけないお喋りを続けた。 私のスリッパが大好きになったのだ。 お逸が一日中いて、…
1878年2月14日 木曜日 約束通り今朝、大鳥家の末娘のお菊ちゃんを迎えに行った。 猿町まではよかったが、それから先は道が悪くて、殆ど通行不可能に近かった。 お菊ちゃんは私が迎えに来るのを待っていて、喜んで家に来た。 みちみち、色々話題を考え…
1878年2月13日 水曜日 「2月の13日に、松平家のお墓に案内いたします」 小泉氏がずっと前に約束してくれていたので、打ち合わせておいた通り、加賀屋敷で落ち合ってお寺へ行くことに。 道中、ずっと道がひどくぬかるんでいて酷い目に遭った上に道…
【クララの明治日記 超訳版解説第40回】 「和宮様の葬列は別として、今回は珍しい、明治初期の葬列の模様よね」 「わたくしにはどこら辺が“西洋式で”どこら辺が“日本式”なのか皆目見当つきませんわ」 「大丈夫! 私にも全然分からないから!」 「お逸、あ…
1878年2月10日 日曜日 「日曜学校へ行こう」 ガシー・ヴィダーが誘いに来た。 お天気がひどかったのでガシーが呼びに来なかったら日曜学校はさぼるところだった。 マクラレン先生のペテロの幻想と、コルネリウスの信仰のお話は面白かった。 その後、…
1878年2月8日 金曜日 お逸と母と私は横浜へ行くので、アディはネリーと遊ばせて貰うようにアマーマン夫人の家に預けた。 九時半の汽車に乗ると、ヴィーダー夫妻、ハイパー夫人と赤ちゃん、ミス・マクニールも一緒だった。 お逸と私は汽車の中で読むた…
1878年2月7日 木曜日 今朝お祈りしている時に三浦夫人がみえて、ゆっくりして行かれた。 私は朝のお祈りを毎日きちんとするように努めている。 しかし、今日は中断してお客様の相手をしたり、通訳をしたりしなければならなかった。 昼食後、勝家の小鹿…
1878年2月5日 火曜日 母は大鳥夫人のお葬式に参列するために出かけたので、アディと私で留守番をした。 日本人のお葬式に参列するのは初めてなので、帰ってきてから詳しい説明をしてくれた。 大鳥氏は三田光坂十四番地の新しい美しい屋敷に住んでおら…
1878年2月4日 月曜日 良いお天気なのに、授業に来たのは盛一人。 おやおさんが来なくなってから、学校がすっかり寂れてしまった。 お逸も小鹿さんの看病で来られないし。 でも使用人のことが片付くまでその方が有り難いかも? あまりに良いお天気なの…
【クララの明治日記 超訳版解説第39回】 「今回は早速解説に入りますけれど……」 「集団で虐めなんて、宣教師たちって、本当に底意地が悪いよねー」 「わたくしの義父様はそんなこと致しませんわよ!」 「それは分かってるって。マッカーティー先生とメイの…
1878年2月2日 土曜日 人間関係のちょっとしたごたごたがあって、定例のホーリネス教会の祈祷会は今日は開かれなかった。 そうとは知らず週一回の大掃除をした。 私は歌を歌いながらお掃除をするのが大好きだ。 歌のお陰で労働が軽く感じられるから。 …
1878年2月1日 金曜日 二月に入って今日はお天気もよく、風が爽やかで春になったという気がした。 でも、母の頭痛のために私たちは外出できなくて、あまり春の恩恵に浴さなかった。 夕方近くになってちょっと出かけたが、もう空気が湿っぽくて駄目だっ…