Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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1879-01-01から1年間の記事一覧

クララの明治日記 超訳版第98回−5

1879年11月23日 日曜 今夜、ディクソン氏はいつもより早く、疲れた様子でいらっしゃった。 客間で長い間母と話をしておられたが、私はお目にかかりたくなかったので、食堂のストーブのそばにずっと座っていた。 今日、私ははからずも自分の心の底を…

クララの明治日記 超訳版第98回−4

1879年11月22日 土曜 今日は悲しいことが起こり、相反する二つの思いに胸が張り裂ける思いだ。 こんな個人的出来事を書くことが賢明であるとしたら、本当に悲劇的なシーンを描写できるのだが。 母は身体の調子がとても悪い。 そして私たちはアメリカ…

クララの明治日記 超訳版第98回−3

1879年11月21日 金曜 今日のお昼、松平おやおさんが、いつものお供であるおすみと小泉氏を連れずにみえたので驚いた。 昼食が終わるとすぐにみえ、四時までいらっしゃった。 村田夫人もみえ、富田夫人も朝からいらっしゃったので、お逸、疋田夫人も…

クララの明治日記 超訳版第98回−2

1879年11月20日 木曜 ウィリイが明日まで帰らない予定だったので、今日のYMCAの親睦会にはディクソン氏が連れて行って下さることになっていた。 けれども彼はとても早く行かなければならないので、代わりに弟さんが来て下さった。 ジェイミーは…

クララの明治日記 超訳版第98回−1

1879年11月19日 水曜 今朝起きると、真っ先に目に入ったのは、ベッドの足下に置いてあった一反の美しい絽。 添えてあったカードで、森夫人から母へのお別れのプレゼントと分かった。 とても幅が広くて、ドレスをつくるのに十分で嬉しい贈り物だ。 以…

クララの明治日記 超訳版第97回解説

【クララの明治日記 超訳版解説第97回】 「甥っ子さん、可愛いですわね、お逸」 「……うん、我が甥ながら可愛いとは思うわよ。クララに元々懐いていたし」 「まだ落ち込んでますわね、この娘は。 貴女とクララの悲しい別れのシーンはまだ少し先なんですから…

クララの明治日記 超訳版第97回−2

1879年11月13日 木曜 母は昨日横浜へ行って、ディクソン氏とジェイミーに会った。 ディクソン氏とアンガス氏は夜、家に来て一緒にドイツ語の勉強をした。 二人ともとても機嫌がよくて、本当に楽しかった。 今朝母と銀座に行き、亀屋やそのほかの店で…

クララの明治日記 超訳版第97回−1

1879年11月11日 火曜 今日はジェイミーとテニスをする約束をしたが、起きてみたらその段ではない。 滝のような雨で、晴れる気配はまったくない。 大山氏の赤ちゃんのおみつが昨晩死んだと今朝聞いた。 可哀想に、冷たい雨と風の中を旅立ったのだ。 …

クララの明治日記 超訳版第96回解説

【クララの明治日記 超訳版解説第96回】 「今回の主人公は“宗教問答”の藤島氏ですわね。 先週のお逸のお姉様とクララとの“宗教問答もどき”とは、全く次元が違いますわ。 それもその筈、この藤島氏。非常に“不思議”な経歴の持ち主ですの。 藤島氏は幕臣だと…

クララの明治日記 超訳版第96回−3

1879年11月9日 日曜 主の御心が今日も現わされ、祈りが聞き入れられ、救いの手が差し伸べられたことを、主の御名において感謝いたします。 今朝はディヴィッドソン氏が、真の光キリストについて説教なさり、私はありがたく聞いた。 午後の日曜学校に…

クララの明治日記 超訳版第96回−2

1879年11月8日 土曜 今朝アディを連れて、英国大使館まで歩き、図書館でアストン氏に会った。 背が高く、黒い縮れ毛に、精悍な口ひげ、黒くキラキラした目をしたハンサムな人で、まるでスペイン人のようだ。 私が入ってきたので戸のところにさっと立…

クララの明治日記 超訳版第96回−1

1879年11月6日 木曜 大山夫人の赤ちゃんの加減がとても悪く、今週はなかなか来られなかったので、寂しかった。 森有礼氏がイギリス公使として赴任されることは昨日聞いたばかりだ。 しかし今日、森氏はウィリイに「もしあなた方が倫敦に行くようなこ…

クララの明治日記 超訳版第95回解説

【クララの明治日記 超訳版解説第95回】 「綺羅星!」 「…………はいはい、その通りですわね。 今回紹介したディクソン氏の弟は事実、今日の日本の英語教育の礎を作った人物として、日本の英語教育史にその名を残していますわ」 「折角久々にオタネタでボケた…

クララの明治日記 超訳版第95回−4

1879年11月4日 火曜 今朝はとても疲れていたので、遅くまで寝ていた。 だがウィリイは鳥と一緒に起きて、面白い手術を見に本郷に出かけた。 あの人はおそろしい手術があると大喜びで、もう一人前の、切った張ったの外科医だ。 今晩はお逸の一番上のお…

クララの明治日記 超訳版第95回−3

1879年10月27日 月曜 今朝起きると激しい風と雨が木製のシャッターに叩きつけていた。 寒さに震えながら朝食に下りた。 ウィリイは医科大学に行かずに家にいて、午前中は郵送する手紙を書いていた。 だがドイツ語の始まる頃までには少し晴れて、生徒…

クララの明治日記 超訳版第95回−2

1879年10月26日 日曜 工部大学校の綺羅星の如き教授陣に新たな星が加わった。 ディクソン氏の弟のジェームズ・メイン・ディクソン氏が、昨日ボルガ号でようやく到着したのだ。 今朝、教会に行く途中の二人に会ったが、弟さんの方は背の高いお兄さん…

クララの明治日記 超訳版第95回−1

1879年10月10日 金曜 今日は、おやおさんとおすみが、結婚式以来はじめて来た。 ずっと一緒だった二人だけど、おすみとおやおさんとはいま一緒にはいない。 おやおさんが三河の殿様にお嫁入りし、奥様方になったので、肩あげや娘風の髪型と一緒に、…

クララの明治日記 超訳版第94回解説

【クララの明治日記 超訳版解説第94回】 「今週はいつにもまして解説すべき点がないんだけど、一点だけ補足。 この連載を最初から読んで下さっている方でもきっと覚えていないでしょうけれど、10月4日の日記で、クララが見学に行った船というのはクララ…

クララの明治日記 超訳版第94回−4

1879年10月4日 土曜 母と私は今朝、十時の汽車で横浜に行きミス・マクニールと乗りあわせた。 汽車にはたくさんドイツ人やイギリス人が乗っていて、声高に喋ったり、煙草を吸ったりするので不愉快だった。 横浜ではいろいろな物を探しにあちこちに行…

クララの明治日記 超訳版第94回−3

1879年10月3日 金曜 昨晩は遅くまでドイツ語の暗記、あのいやらしい「イッヒ」の発音や練習問題をした。 今朝は大山夫人と縫物をしながらお喋りをしたが、昨晩、ご主人が「日本人は蜜蜂によく似ている」と評されたという。 もし火事で家が焼けると、…

クララの明治日記 超訳版第94回−2

1879年10月2日 木曜 大山夫人の英語は日ごとに進歩している。 こんな頭の良い人を生徒にし「昔々のお話」をするのはとても恵まれている。 彼女は大変若く、わずか二十歳だが、とても進歩的だ。 二回目のドイツ語のレッスンが今日の午後にあった。 ヘ…

クララの明治日記 超訳版第94回−1

1879年10月1日 水曜 今朝は朝の光がとてもまぶしく、いつもより早く目が覚めた。 しかし、日の出の美しさにその甲斐はあった。 もっとも、茜に染まった雲が消えると、朝は冷たく灰色になった。 人の一生も、初めは希望に溢れていたのに、時満たぬうち…

クララの明治日記 超訳版第93回解説

【クララの明治日記 超訳版解説第93回】 「今週は区切りの関係で短かったから、特に解説することないねー」 「というわけで、以前予告していた通り、クララとも縁が深い大山夫人と、その娘さんたちについての解説をいたしますわよ」 「では、代わって概略…

クララの明治日記 超訳版第93回−3

1879年9月18日 木曜 お逸の写真が届いた。 洋服がとてもよく似合う。 でもお逸は今日はお稽古に来ない。 将軍の奥方様にチャノユに来るようにとお迎えがあったそうだ。 大山夫人は来られたが、いつものようにしとやかで美しかった。 大山中将が鮫島尚…

クララの明治日記 超訳版第93回−2

1879年9月17日 水曜 「手芸の材料をいろいろ買いたいのでお店を紹介してくれませんか?」 大山夫人がそう云うので、今朝、母と大山夫人とお逸と一緒に横浜へ行った。 私たちは一等車に乗った。 家康の命日に当たり、沢山の人が遊山に横浜に出かけるの…

クララの明治日記 超訳版第93回−1

1879年9月15日 月曜 木曜日からずっとひどい雨降りで、やっと昨日になって晴れた。 水浸しの世界に、日曜の朝が美しく輝いて訪れた。 母はひどい風邪をひいてしまったので教会に行かれないかったから、ウィリイと私が行き、ミーチャム氏のよい説教を…

クララの明治日記 超訳版第92回解説

【クララの明治日記 超訳版解説第92回】 「今週分はクララ的には忙しかったんだろうけど、平穏な一週間だったねー。 謎の“D氏”(笑)との結婚の噂は兎も角」 「わざわざ自分で“D氏”と書いておいて、直後にディクソン氏の名前を出していては台無しですわね…

クララの明治日記 超訳版第92回−5

1879年9月10日 水曜 冷たい彼岸時の風と雨が続き、いやになってしまう。 どこにも出かけられないし、冷たい風に私は身震いし、冬を恐れる。 ウイリィは本郷富士町にある加賀屋敷内の医科大学、つまり東京大学医学部に通いはじめた。 大山夫人は、雨で…

クララの明治日記 超訳版第92回−4

1879年9月9日 火曜 大山沢子夫人がいつものように来られ、お喋りをした。 十六歳で結婚して、今二十歳だそうだ。 ちなみに、西郷清子夫人は二十六歳。 大山夫人の教科書にはノアの箱船のことが出ていたので、説明してあげたところ、とても面白がられた…

クララの明治日記 超訳版第92回−3

1879年9月6日 土曜 今朝、杉田先生のお宅から菓子折とお茶が届いた。 立派な漆のお盆に載せ、杉田家の紋が金糸で刺繍してある美しいフクサがかけてあった。 カーチャンが亡くなってから三十五日になるので、この贈り物は黒白のミズヒキ――贈り物の紐――…